・ダークノア/ヘビースモーカー編(番外)

「……というと、既にそれは出来ているのだな?」
「はっ!仰せのままに!」
ダークに跪いた男は、固い表情で頷いた。白衣を着て、眼鏡をかけたその男は、ダークノアで「ドクター」と呼ばれている。
その仰々しい名前とは裏腹に、歳はそう高くない。25歳くらい、いや、もっと若いかもしれないが詳しい事はわからなかった。ダークノア創設の初期からドクターはおり、ダークスウツや黒精の研究・開発に携わってきたらしい。
こざっぱりと切り揃えられた髪に、長身、身体は鍛えているのか逆三である。白衣の中には専用に改造してあるというダークスウツ。銀の曲線が筋肉の形に沿って走っている。
唯一、そばかすだけかドクターがドクターになる前の純真な青年だった時を彷彿とさせる。
「後は試験という事か……候補者は?」
「こちらに」
ドクターが立ち上がり、手をかざしたすぐ傍ににある中年男性のホログラフが浮かび上がった。
「斯波辰雄、40歳。S高生活指導担当主任。体育科担当。ラグビー部顧問。独身寮に住んでおります。自身もラグビー経験者であり、肉体は同世代と比較しても良好。年齢がネックですが、まあ、試験ですので問題ありません。性格は厳格で一本気、真面目で勤務態度も優れています。が、ヘビースモーカーとしても有名で、校内で喫煙しているのを数回目撃されています……今回のターゲットとしてうってつけかと」
赤銅色に焼けた肌を、舐める様にカメラが移動し、ラグビーユニフォームの斯波を映していく。短く刈り上げられた髪はバリッと音をたてそうなくらい固そうで、襟足にいくつか白いものも見受けられる。四角い顔に厳格そうな一本に結ばれた口、強い目力、眉は太く日本男児の典型の様な顔だ。逞しい胸筋は中心で二つに割れ、腹は筋肉太りしているのか張りがある。足は太く、ヒラメ筋がくっきりソックスに浮かんでいるのを見ると、斯波は実際に動いて指導をする監督の様だ。
「よかろう。お前の好きにやれ」
「はっ!ありがたき幸せ!」
再びドクターは跪き、快感と喜びに身を震わせた。

「須田」
「……ここに」
ドクターから随分と遠い所に、須田は人間体で立っていた。真っ黒な柔道着の中に、真っ黒なインナー。はだけた胸の中央に、赤く光る淫玉が埋め込まれている。
練習後なのか、頭から爪先まで珠の汗をかいている。露出している部分どころか、インナーのダークスウツの上にまで汗が形を伴って流れていた。厳つい表情は、改造される前からのものであったが、全身から邪悪なオーラを放出させている。
「任務だ。この煙草を斯波に吸わせろ」
「はっ!了解!」
須田は裸足でぺたぺたと歩き、真っ黒なラベルに「Dark Impact」と書かれた煙草をワンカートン受け取る。
「これは……どの様なものですか?」
「煙草さ、中毒性とダーク様への忠誠心がたっぷり詰まった……」
ドクターはイヤらしく笑うと、須田の淫玉へ手を伸ばした。
「これも私が発案して作ったのさ。まだ若い戦闘員達を実験台にして……。大地は良い検体だよ、まったく。お前みたいな生真面目な奴をこんな風に変えてしまうなんて」
ぐりぐりと淫玉を撫で回すドクターは、大胆に須田の汗ばんだ厚い胸に指を這わせた。
「ひ……あっ!ああっ!」
口だけで喘ぐ須田は、ドクターの前で完全に無力だった。改造された股間のスリットが全開に開けられ、赤黒いチンポが飛び出す。いくら怪人の力を手に入れたとしても、敵わない。
「いいか?斯波もお前と同じ変態教師に改造されるんだ。一度心を滅茶苦茶に壊し、その後洗脳して、汗臭いオヤジ戦闘員の完成だ。プロトタイプとしてお前みたいに可愛がってやろう……ほら、こんな時は何て言うんだ?」
「あ……ひぃっ!あ、ありがたき幸せ、でございますうっ!!」
びくんっ、と体を震わせて須田は虚ろな目を空に向けた。黒い柔道着に更なる黒が広がっていく。濃厚な精液の臭いがむわっと立ち込めた。
「……では、頼んだ」
「イイッ!我が命にかけても!!」
邪悪に唇を歪め、須田は再び闇に消えた。

残暑の厳しいなか、一日の授業を終えた斯波は体育教官室で汗まみれのジャージを着替えていた。愛用の煙草の匂いの染み着いた黒いプーマのジャージはぞんざいに投げ捨てられ、汗取り用のインナーシャツも脱いでいく。剛毛の生えるがっちりした体をタオルで清めて、新たなインナーシャツとラグビーユニフォームを身に付け、部活動の準備をする。今日は練習試合の前なので、がっつりメニューをこなさせるつもりだ。
「お疲れ様でーす」
「おっ、お疲れ。暑ぃなー!!」
一礼した須田に気さくに話し掛け、斯波は陽に焼けた笑顔を見せる。破顔、という表現がぴったりくる。
須田も同じく汗まみれのジャージを脱ぎ、長袖のインナーシャツはそのまま柔道着を着込んだ。足は脹ら脛までぴっちりとインナーが覆っている――もちろん、黒だ。
「そんなに着て暑くねぇの?」
「夏用ですから。それに、結構気持ちいいんですよ」
斯波先生も同じ姿になるんですしね、という言葉を須田は辛うじて飲み込んだ。このガタイの厳つく汗臭い中年の雄に、須田のチンポはギンギンに反応していたが、鰐男として改造されたスリットの中にイチモツをしまっているので、斯波に気付かれる事はない。
「へぇ……あ、俺そろそろ行くわ」
「ああ!ちょっと待って下さい」
ごそごそと須田が取り出したのは、例の煙草だった。
「試供品で貰ったんですけど、俺、煙草吸わないんでよろしければ斯波先生いかがですか?」
「お!いいのか?」
にやり、と笑うのを須田は堪えきれない。煙草に関して斯波は目がないのだ。
「では、ありがたく頂こう」
仰々しく煙草を受け取り、斯波はロッカーにそれをしまって、慌ただしく教官室を後にした。
グラウンドには、既に並んだラグビー部員達が談笑している。
「おら、始めっぞ!!」
「うっす!!」
上機嫌の斯波はまだ知らなかった。同僚の変貌にも、他部の生徒達の変化にも、そして、貰った煙草が自らを狂わせる事も……

「やりました。斯波は何の疑いもなくアレを吸うでしょう」
誰もいなくなった教官室で、須田はケータイをかけていた。
「よくやった。観察経過はお前に任せる」
「了解」
ピッ、と軽快な音をたてて電話が切れると、須田の柔道着はみるみる純白から漆黒へと変色していった。
「あの堅物の斯波先生が、ダークノアの一員にされるなんて……」
満面の笑みで、須田は躊躇いもなく斯波のロッカーを開ける。煙草のカートン箱の下に、ぐしゃぐしゃに置かれたジャージとインナーが入っていた。ぐっしょりとまだ湿っている。
「……我慢、出来ねぇ!」
むしゃぶり付くように、須田はインナーを犬の様に嗅ぎまくる。チンポがスリットから飛び出すと、生々しい匂いが教官室に充満していく。
「うおっ!斯波先生っ!早くっ、俺みてぇな、変態教師にっ!堕ちちまわねぇかな!うひっ!堪まんねぇぇっ!!」
柔道着越しに精液が飛び出し、床をを黒く汚した。
「うへへぇ……斯波先生…早く……こっちに…来て下さい……」
呆けた様に笑う須田に、かつての面影は無かった。

独身寮に帰ると、斯波は須田に貰った煙草をすぐさま取り出した。
「だーく…いんぱくと?聞いた事ねぇな……」
社名も無いので、外国産と判断する。独り暮らしの中年男性の部屋は散らかり放題で、足の踏み場もないのだが、帰宅したそのままの姿でスペースを開拓し、どっかりと腰を下ろす。汗を吸ったユニフォームとソックスは、脱衣カゴの上にてんこもりにされている。
机の上にコンビニ弁当を広げ、缶ビールを開けた。そして、何気なく煙草の箱を開け、一本火をつける。薄紫の煙が上がり、斯波は軽く吸い込んだ。
「!……美味ぇ!!」
驚く程その煙草は美味しかった。ヘビースモーカーの斯波を驚嘆させる程に。すぐに次の一本に手が延びてしまう。
「…………」
黙々と煙草を味わう内に、斯波の体には徐々にある変化が起ころうとしていた。しかし、斯波自身はそれに全く気付かない。むしろ、気付かない様に細工されているかの様だった。
あっという間に一箱吸い終わった頃には、斯波の健全な肉体はすっかりダークの力に汚染されていた。どの戦闘員にも共通する、毛深い肉体に逞しい筋肉、鼻を突く体臭……その片鱗が斯波の身体にも顕れ始めたのである。しかし、それはごく微量な物で、斯波のラガーとしての経歴から考えても、そんな自らの些細な変化には気付かない。
「………あぁ…」
微かに喘いだその顔は、恍惚としていた。

「もう3箱も吸ったんですか?!」
半ば呆れ、半ば驚きながら須田は尋ねた。昨日渡したばかりだというのに、もうそんなに。須田はドクターの目測が誤っていた事を悟った。斯波は学外ではチェーンスモーカーなのだ。
「おう、あれ美味くてよ」
臆面もなく笑う斯波からは、微かな同族の匂いを感じる。
「……そうですか。良かった」
焦りが顔に出ない様、必死に笑顔を取り繕う。実験は成功なのだろうか。
「あれ?」
「どうしたんですか?」
「太ったかな……ユニフォームがキツい」
ピチピチに張り詰めたラグビーユニフォームを着て、斯波は困った顔で頭を掻いた。須田は肉欲を抑え、その様子を頭に刻み付ける。

「……確かか?」
「はっ!被験体・斯波辰雄の肉体には改造の兆候が僅かに見られます。ですが、精神の方はまだ……というより、進展がない様です」
須田はドクターに告げる。ドクターは顎に手を当て、深く考え込む仕種をした。
「…まだわからないだろう。そもそも、1日に3箱も吸うなんて想定外だ。中毒性を増し過ぎたか……」
ふと、ドクターは顔を上げる。
「精神の兆候は、被験体が隠しているのかもしれない」
須田は不思議そうな顔でドクターを見つめた。

斯波は全く部活に集中出来ていなかった。部員達の姿に目が行ってしまい、練習の監督どころではなかったのだ。
(何だ、この感覚……)
見慣れた生徒の、若く逞しい肉体に釘付けになる。それも、くっきり浮いた汗染みや、膨らんだ股間、蒸れていそうなソックス等、教師としてあるまじき部位に見入ってしまう。それも、女の胸や足を盗み見する様な、背徳感に充ちながら性的な欲求に基づく視線であった。
(俺……まさか…)
斯波は頭に浮かんだ憶測を必死に否定した。まさか、自分が――男に発情しているだなんて。
昨日までは全く、結婚に縁が無いだけで女には夢中な精力盛んな男だったのに、何がきっかけで同性に開眼してしまったのか。
頭を振って、斯波はその思いを振り払う。やにわに手をポケットに突っ込み、煙草を取り出した。貰った物では、5箱目だった。

その日の夜。
暗い部屋で、斯波は音量を絞りテレビを見ていた。DVDプレーヤーが静かな起動音をたてている。微かにスピーカーから漏れ聞こえるのは、激しい女の喘ぎ声だ。
下半身は素っ裸のまま、だらしない格好で毛むくじゃらの深奥に手を伸ばしイチモツを扱く。斯波は煙草を手に取って、それが空であり事に気付いた。もう7箱目だった。
AVを見れば女で抜けるはず、と思った斯波の考えは、尽く裏切られた。萎えたままのチンポは、くったりとその身をチン毛の中に横たえている。
「畜生……なんで勃たねぇんだ…!」
腹立たしさをまぎらわせる為に、斯波は8箱目に手をかける。そして、一本に火をつけた瞬間、ある雑誌が目に飛び込んできた。
『ラグビー選手名鑑20XX』
スポーツ誌を多く購読していた斯波は、雑誌が山積みにされた所へ向かい、恐る恐るその頂点にあった本を開いた。筋骨隆々の男達が、汗だくのユニフォームで絡みながら円陣を組み、爽やかな笑顔を浮かべている。
「ぐ……ぅぅうっ!!」
チンポが急に元気を取り戻し、無意識に手が再びチンポを弄り始める。きらめく汗に、ピチピチのユニフォーム。純朴な顔立ちに、むっちりと筋肉の乗った脂ぎった肉体。斯波はすっかり体育会系男子の虜になってしまっていたのだ。
(俺は…俺、違っ!何でマッチョに興奮しちまうんだっ!!)
その問いに答える者はいない。口から出るのは、今まで以上に感じるチンポになった事の証しである。
「ひああっ!!……俺っ!うがっ!も、もううぅっ!!」
脈打つチンポから、濃く真白な精液が溢れ出た。まるで何かに抗うかの様に、斯波は身体を捩らせ、よがり啼く。精液は押し出される様に次々と射精され、がっちりと膨らみを帯びた腹の毛の上にべっとりと広がっていく。
そして、純白だった精液は徐々に異物が混じっていくかの様に黒く濁っていく。丁度灰色が黒寄りになった所で、斯波の射精は止まった。
「はぁ、はぁ……あ……はぁぁん……」
余韻に浸り、男で抜いた屈辱よりも射精出来た満足感が斯波を満たす。部屋はイカと煙草臭く、床には精液がたっぷりと溜まっていた。
脂でテカった毛深い肉体は、既に他の戦闘員と遜色が無くなっている。乳首も肥大し、性感帯も開発され尽くし、ケツ穴もどんどん弛んでいく。こうして斯波は、気付かぬ間にすっかり淫乱な教師へとたった2日足らずで変えられてしまったのだった。但し、煙草という強い副作用を伴って……
「俺、どうしちまったんだ……。身体が、アチい…。ケツが疼く。うあっ!うわあああああっ!!」
再び身体を痙攣させ、斯波はチンポをそそり立たせる。煙草の匂いを嗅ぐ度に、脳に刷り込まれた快感が刺激されてしまい、強制的に身体が感じてしまうのだ。それも、自分ではどうしようもない位、身悶えする程に。
「ひがっ!がああああああっ!!」
プシュッ!更に黒ずんだ精液が噴火する。勢いが良すぎて、厳つい顔にぶっかけてしまう。蕩ける様に歪んだ顔は、昼間の厳しく生活指導で生徒を威圧する彼と似ても似つかなかった。
「はぁぁ……うひっ!…」
壊れた様に笑う斯波の目は、真っ黒に濁っていた。

「この調子だと、今日にも完成だろうな」
斯波の部屋に設置した隠しカメラを確認しながら、ドクターは言った。
「はっ!その様に思います」
「須田、お前がトリガーを引くんだ。他の誰かにやらせるな、最悪でもダークノアにやらせろ」
「はっ!この命に代えても!!」
身に余る光栄に顔を綻ばせながら、須田は出て行った。

体育教官室に、斯波が慌てて入っていく。それをやはり隠しカメラで須田はじっくりと観察していた。
愛用の黒いプーマのジャージは、今にも張り裂けそうな位ぱつんぱつんになっている。汗の量も増え、体臭も良い感じの雄に変わっていた。そして何より、全身からキツい煙草の匂いが染み付いている。
「う……おおっ!!…」
ぶるんっ!と勢い良く飛び出したのは、赤黒く血管の浮き出た巨根だった。勿論、サイズも肥大している。
「あ……あぁ…」
トロッと先走りが流れ、身体を仰け反らせる。自分の身体を熱心に嗅ぎ、煙草の匂いと汗の匂いをたっぷり吸い込んでいく。
「か……ひ……あああぁぁっ!!」
厳つい顔をくしゃくしゃに歪めて、斯波は豪快に射精した。手で押さえたものの、隙間からドクドク精液が流れ落ちる。その色はほとんど黒に近かった。
「こんなっ!所でっ!!俺……俺はぁっ!!」
恥ずかしさと困惑に狼狽えているその時に、教官室のドアが開いた。須田が入って来たのである。
「あ……これは、須田、話を聞いてくれないか!」
泣きそうな顔で斯波は懇願した。こんな時でも彼のチンポは締まり無く先走りを垂れ流している。
「斯波先生……」
顔が笑いそうになるのを堪え、こっそり教官室の鍵を掛ける。勿論、ドアには『不在』の札が掛かっていた。
「違うんだ!須田、お願いだから……」
「何が違うんですか?斯波先生?」
言葉に詰まる斯波。意に関さず、須田は上のジャージを脱いでいく。逞しい胸板が、乳首まで浮き上がる程キツいインナーシャツに覆われていた。ダークスウツである事を、斯波は知らない。しかし、目がもう須田のガタイから離せなかった。
「あ……須田…そんな……エロい格好……だったのか…」
よろよろと近付き、むしゃぶりつく様に斯波は須田の身体に触った。じっとりと汗で湿ったダークスウツは、むわっと須田の汗臭い匂いを放出させている。
「変態だったんですね、斯波先生って」
「変態……俺が?」
「そうですよ。俺の身体に興奮してんじゃないですか、匂いまで嗅いで……」
「ち、違……」
「職場でオナニーするなんて、普通有り得ませんよ。しかも、自分の匂いでイクなんて…」
「あ……ああ……」
「ほら、俺の身体で抜いて下さいよ。さっきみたいに」
「俺、変態……」
厳つい顔から涙が一筋こぼれた。屈強な体育教師の心が折れた瞬間だった。そこを一気に、ダークの力が襲いかかる。
恐る恐るだった手付きは大胆に変わり、斯波は須田の肉体を這うように舐める。脇のツンとする匂いも、しっかりと味わい、巧みな舌使いで乳首を吸った。
「ぐ……おっ!」
ジャージの下で、須田のスリットが開く。膨らんだ先にはべっとりと先走りが付着していた。
「須田先生の身体、すげぇ美味ぇ!かぁーっ!柔道部はエロくてたまんねぇな!!」
変態である事を受け入れた斯波の、最終的な洗脳が進んでいく。卑猥な言葉を使いながら、自らも興奮していき、煙草に含まれた化学物質がダークノアの一員として調教されていくのだ。
「斯波先生はどんな先生に改造されたんですか?」
全身を愛撫されながら、須田は斯波の最後の調整に取り掛かっていく。
「俺は変態っ!教え子のくっせぇ身体に興奮する淫乱教師にされちまったんだ!」
「どのお方に?」
「親愛なるダーク様です!!」
誇らしげに叫ぶ斯波を見て、須田は嬉しそうに頷いた。
「斯波先生、ダークノアにようこそ」
「ああ……須田先生も、そうだったのか…」
今気付いた、と斯波は思う。それはそうだ、たった今、ダークの名を出した事によって、被験体・斯波辰雄の改造は終了したのだから。
須田が下のジャージを脱ぎ、ダークスウツ姿へ戻っていく。顎から下の全身を覆う姿は、テレビで見る戦闘員達とかなり似ていた。胸からは赤く光る淫玉が現れる。スリットから赤黒い肉棒が飛び出し、漆黒の先走りを垂れ流していた。
「すげぇ……」
「斯波、お前も時期にこうなるから安心しろ」
立場が逆転し、須田が斯波の先輩、しかも怪人として上司になる。
「お、俺もうイキそうです!」
「許可する。お前はプロトタイプの中年戦闘員として生まれ変わるのだ!」
「はっ!有り難き……幸せぇっ!ぐ……ああっ!うおっ!イクッ!イイッ!イイッ!イイ~~ッ!!」
甲高い声を上げ、斯波は斯波辰雄からプロトタイプの戦闘員として改造を完了した。むっちりした身体を、ぴったりとしたダークスウツが覆い、赤銅色の厳つい顔は、醜い笑いで歪んでいる。全身から脂っこい加齢臭と、猛烈な煙草の匂いを放ち、品が無くぼりぼりと身体を掻いた。
「イイッ!プロトタイプ斯波辰雄完成しました!ダイル様、なんなりとご命令を!」
その場に跪く斯波を見て、須田は満足そうに笑った。
「立て。俺を満足させろ」
「イイッ!喜んで!」
首から下をダークスウツに包んだ二人は、汗だくになりながら激しい交尾に耽っていく。元は生真面目な体育教師だった二人は、立場も逆転し、ダークノアに忠誠を誓う淫乱教師になってしまった。
顔に黒い精液をぶっかけられながらも、斯波はその厳つい顔を歪めて、嬉しそうに舐め取った。

「本当にあの学校って、その、危険組織の可能性があるんですか?」
訝しげに聞く立松は、まだ新米の刑事である。スーツの上からもそのガッチリと鍛え上げられた肉体が窺え、若さ故の精悍さを醸している。目付きは鋭く、刑事としての素質を十分に備えた強面で、髪は五分刈りにしていた。
「違う、あの学校の中に、危険組織があるかもしれないんだ」
応えたのはベテランの徳井だった。ドスの利いた声で、白眼がちの一重で睨む。口の回りに髭を蓄え、髪はスキンヘッドである。スーツ姿も相まって、ヤクザにしか見えない。恰幅が良く、ウェイトトレーニング等を嗜んでいる。
「なるほど。で、俺は何をすれば?」
「潜入、と言っても様子を見るだけで良い。丁度、別件で上手く用事が出来そうだ」
徳井は愛用のピースに火を付け、口から紫煙を吐いた。
「ま、お使いみたいなもんさ」
それが誤りである事に気付くのは、もう少し先の話である。

大の字で横たえられた斯波を、怪しげな機械が取り巻いていた。薬で眠っている斯波は、全身をダークスウツで覆っている。膨らんだ腹の下に、萎える事のないイチモツを抱えている。
「素晴らしいデータ、か」
ドクターは面白くなさそうに呟く。何よりもプロトタイプの優れている点は、その改造の波及の早さだった。そしてそれは同時多発的な物である。
「まだ一人ではデータが足りない……」
「あ……イイッ!イイッ!!」
ドクターの目の前で、突然斯波は射精を繰り返した。夢精は自らの肉体から染み出る煙草の匂いによるものである。
「もしかしたら、使い物にならないかもしれないですね」
須田は斯波に哀れみの一瞥をくれて言った。幸福そうに眠る斯波の身体は、自分自身の精液にまみれている。
「まだわからない。40の雄なんてダークノアにはいないからな」
ドクターは珍しく楽観的な物の言い方をした。
「要は使い方さ」
薄ら笑いを浮かべるドクターに、須田は背筋に悪寒が走った。

「っせーな!!離せよ!」
学ランの少年が立松に悪態をついた。薄い眉に、坊主頭には剃り込みが何本か入れられている。S高の問題児、2年の青屋である。
「そうはいかない。君は傷害罪で起訴されても問題ない年齢だからな」
立松は内心舌打ちをしながら、青屋を睨んだ。俺だってガキは嫌いだ。
上司の徳井が発案したのは、この問題児をS高に連れていく事で潜入捜査を果たすというものだった。盛り場でトラブルを起こしまくる青屋を捕らえるのはそう難しくはなかったが、刑事である立松は珍しく制服を着なければならなかったので少しの違和感を感じる。
S高に連絡は入れておいたので、立松は広大な敷地をさ迷う事はなかった。正門で生活指導科の教師がスタンバっていたからだ。体育教師の斯波と須田である。立松は、スポーツ校の体育教師はやはり体格が違うなと思った。

「青屋……お前、どうしちまったんだ」
斯波は怒りよりも悲しみを込めて言った。教官室には斯波と青屋の二人しかいない。斯波は良い指導者として有名で、どんなひょろひょろの新入生だって蝉の鳴く頃にはガッシリ逞しい立派なラガーに育て上げる事が出来る。今まで一人の落伍者も出さなかった――そう、今までは。
青屋も、最初は普通の学生だったけども、プロを目指す部員もいる様なラグビー部に本気で打ち込んでいた時もある。だが、2年の最初にふっつりと部活に顔を出さなくなり、不良として悪名を高校に名を馳せた。
青屋は不貞腐れた様に顔を背ける。この煙草臭い顧問を、青屋は嫌いではない。しかし、斯波が決定的に変わってしまった事を青屋は知らなかった。
青屋は知らず知らずの内に、煙草の匂いを嗅ぎ取っていた。臭いとは思っていても嗅いでしまいたくなる。
「俺に、悩みとかあったら教えてくれよ」
斯波は真っ黒なパッケージの煙草を取って、火を付けた。

立松は何気ない様子で、学内を探索した。男子校独特の乱雑さと空気が、警察学校時代を思い出させる。
「ぐああああああぁぁぁ……」
ある教室を通りかかった際に、怪しげな悲鳴とも呻き声ともつかない声を聞いた。訝しんで、教室のドアにぴたりと背を付ける。その動作や目付きは、制服警官に似つかわしくないものだったが、そこまで立松は頭が回らなかった。
二人の男子学生が、教室の中で向かい合って立っている。一人は真っ黒な全身タイツの様な、身体に密着した服を着ている。野球部だろうか?坊主頭に肌が焦げ茶色に焼けていた。
もう一人は学ランを着ていたのだが、何を思ったかいきなり服を脱ぎ出し、全裸になっていく。立松は息を殺して見守っていると、水泳着を中に着ている事がわかった。
「う、うお、うおおっ……」
さっきとはまた違った声を出し、学ランを着ていた方が胸を押さえ背を丸める。
すると、立松の目に信じられない光景が映った。
黒の水泳着が徐々に形を変え、野球部の男と変わらない全身タイツ姿になっていく。気持ちいいのか、身悶えさせ、喘ぎ声をあげている。立松が最初に聞いたのは、野球部の男が全身タイツ姿に変わる時の声であると気付く。
全身タイツは二人のタイプの違う肉体を鮮明に浮かび上がらせていた。野球部は筋ばった筋肉と長身、長い腕が見事に発達している。恐らく水泳部の方は、逆三角形の上半身に、太股がぶっとく膨らんでいる。
「裕也……待ちくたびれた」
水泳部が口を開く。
「俺も。片田」
野球部がにやりと笑うと、どちらからともなく身体を触り合っていく。黒い触手が這う様に、指が逞しい筋肉をなぞる。男臭い顔を付き合わせ、舌が絡まると、真っ黒に包まれたチンポが互いに勃起しぶつかり合った。
(何だ此処は?!)
目の前のショッキングな光景に、立松は言葉を失う。そして、一度だけ警察の資料で、全身黒タイツの集団に関するものを見た事があった事を思い出した。
(確か……)
「ダーク、ノア?」
言葉にした瞬間、鮮烈に資料の内容がよみがえっていく。謎の集団犯罪組織、特徴は対象の洗脳、方法は――不明。
「気付かれたなら仕方がない」
背後に気配を感じ、身を伏せて転がる。柔道着を着た須田が、背後に立っていた。中には勿論、全身タイツもといダークスウツを着ている。
「そういう事かよっ!!」
立松は急いで立ち上がり、ゆっくり後退った。だが、須田は怪人としての力を使い、一気に間合いを詰める。
「がはっ!!」
鳩尾に深々とめり込んだ拳を抜くと、立松はその場に崩れ落ちた。須田は無表情で立松を担ぎ、闇の中に消える。

青屋は必死に理性を取り戻そうと戦っていた。煙草の匂いがそれを阻害している。
教官室は今や、煙草の煙で充満していた。煙草を吸わない青屋も、受動喫煙でより濃いダークの成分を体内に取り込んでしまっている。若く、ただでさえ敏感な肉体は、すぐに性欲と直結していた。
目がとろんと虚ろになっていく。斯波は青屋がもう少しで煙草の虜になるであろう事を確信した。
「1年生が、入って来たじゃないですか」
ぼそり、と唐突に青屋は語り始めた。理性が崩れ、我慢していた事を発露させる。
「その時、やっぱりプロ目指して小さい頃からラグビーやってる奴等がいて、俺、そいつらより下手くそなんすよ。そしたら、超カッコ悪ぃと思って……」
照れか恥ずかしいのか、青屋は俯いてしまった。斯波は辛うじて残った理性で、青屋に同情した。
「馬鹿だなぁ、お前」
斯波はゆっくり青屋に近づいていく。斯波のダークスウツからは煙草と同じ成分が高濃度で放出されていた。青屋にトドメを刺すために。
「下手くそでも、お前、ラグビーあんなに好きだったじゃないか」
「斯波……先生…」
青屋の目から涙がこぼれると、斯波は青屋を抱き締めた。青屋の鼻に、汗と煙草の匂いが直に当てられる。
「先生っ!すいません!すいませんでしたっ!」
嗚咽しながら、青屋はたっぷり斯波の匂いを嗅いでいく。そして。
「くはっ!ああああああああっ!!」
青屋は自分の身に起きた事が信じられかった。大きく張った学ランのズボンにまで、生臭い精液が染み込んでしまっている。
手も使わずに、青屋は斯波の匂いだけでイッてしまったのだった。
「あ……あ…い…イッ……イイッ……」
混乱する青屋の精神を、ダークの力が蝕んでいく。
「せ、せんせイッ!!俺、俺っ!先生の煙草臭ぇ匂イッ!好きで堪らなイッす!!」
「どんどん嗅げ。そして、その若い肉体をダーク様に捧げるのだ!!」
本性を露にした斯波に、青屋はむしゃぶりつく。
「斯波せんせイッ!!この身も心も、ダーク様の為にイッ!!イイッ!イイッ!イイーーッ!!」
チンポから新たに黒い精液が溢れ出て、学ランの下にダークスウツを形成していく。不良になっていた時も、ラグビー部流の筋トレは欠かさなかったのか、一目で部活がわかる程の胸元や筋肉の付き方をしている。
「イイッ!改造ありがとうございますッ!!プロトタイプ・青屋、ダーク様に永遠の忠誠を誓いますッ!」
指先までダークスウツに覆われた姿で、青屋は生まれ変わった自分をしげしげと見つめた。学ランを脱ぎ、全身を淫らに拘束するダークスウツを撫でる。快感が比ではなかった。
ダークスウツからは、斯波と同じ煙草の匂いが香る。プロトタイプの戦闘員は、匂いでも対象を洗脳・改造出来る事が特徴として上げられる。その匂いは、煙草によく似ているのだ。
「あ……あ…止まらなイイッ!!」
真っ黒な精液がチンポから飛び出す。プロトタイプは、匂いにも敏感に発情する為、斯波がそうであった様に、すぐに射精してしまう。廃人になる程の負荷がかかる為、ドクターは新たな一手を考えていた。
「この薬を飲むんだ」
斯波が青屋に錠剤を手渡す。月に一度その薬を飲めば、通常の戦闘員達と同じ頻度での射精が可能となる(それでも一般男性と比べればすこぶる多いが)。
「あ、ありがとうございますッ!イイッ!」
甲高い声で律儀に礼をする青屋を見て、斯波は悦に入る。教え子を自分と同じ戦闘員に改造してしまうなんて……、背徳感と達成感に、斯波はぞくりと身体を震わせた。
(早くあいつらにも味わわせてやらねぇと……この、ダークノアの素晴らしさを!)
ラグビー部員達を思い浮かべ、斯波はじっとりと股関を先走りで汚していった。

後ろ手に縛られ、立松はパイプ椅子に拘束されている。
部屋、というより、そこは個室に近く、トイレぐらいの狭さである。
「くっ……離せぇっ!!」
やたらに暴れるが、縄がほどける事はない。密封された空間は、今にも立松を窒息死させそうだった。
『立松刑事、貴方には我々の高校の守衛になって頂く』
聞き慣れない声が天井から聞こえてきた。声はドクターなのであるが、それすらも立松は知らない。
「誰がそんなっ!!」
強気に悪態を吐く立松。馬鹿にした笑い声が、彼を逆撫でする。
『貴方もすぐに我々ダークノアの一員にして差し上げますよ』
「俺は絶対、負けないからなっ!!」
個室のドアが開き、斯波が現れる。全身をダークスウツに包み、イヤらしく唇を歪ませた。
「刑事さんにも、この煙草の素晴らしさを教えてあげますよ」
煙草を一息一気に吸うと、その息を立松の顔に吹き付ける。立松は噎せて、その成分を身体に取り入れてしまう。
「ゴホッ!…何を、した!」
「すぐにわかりますよ。これを置いていきますので、お使い下さい。では」
個室のドアが閉まると、再び静寂が訪れた。縄が自動的に解れ、自由に身体を動かせる様になる。しかし、個室のドアはぴたりと閉ざしたまま、一向に開きそうになかった。
「ちくしょう……どうする…」
斯波が置いていったのは、湿ったダークスウツであった。気持ち悪いので、すぐに触るのを止める。しかし、染み着いて匂い立つその汗と精液と煙草の臭さは、すぐに個室に充満していった。
「うえ……吐きそうだ…」
気分が悪くなり、立松は立っていられなくなる。罠に嵌まったまま、立松の意識は薄れていった。そのダークスウツが、立松の為に作られた物だと気付きもせず。

10

立松の身体は少しずつ変調を来していった。その数分後には発汗が止まらなくなり、呼吸も荒くなっていく。身体を掻きむしると、剛毛がそこから生え、男臭い匂いが香り始める。逞しい肉体は脂ぎり、警察の制服を押し上げる。
「うあ……」
性感が高まり、涎がだらしなく垂れた。頼れる正義の警官は、穢らわしい一匹の雄へと徐々に堕ちていく……

目を覚ますと、すぐに立松は自身の身体の変化に気付いた。
「う……何だこれ…?!」
汗で変色したブルーのワイシャツを脱ぐと、ワイルドに生え揃った胸毛や腕毛がぺったり発達した筋肉に貼り付いている。合気道で鍛えた身体は、必要以上にバルクアップされ、格闘家の様な横幅のあるガタイにされてしまっていた。
「うわあああああああっ!!」
肉体が弄られるという恐怖に、立松は叫び声を上げた。汗臭い匂いは、すでに自分から漂ってくる割合がほとんどである。
『どうだ?直接身体を改造された気持ちは?もうそろそろ、貴方も感じて来た筈だ……ダーク様の偉大なお力を!』
「おれ……はぁっ!負げ…ねぇっ!!」
下半身の筋肉がズボンを圧迫し、チンポが窮屈にパンツと擦れる。発達した快感は、立松の残った理性を食い破る様に、彼を攻め立てた。
「う……ぎぃ………ぐあ…」
徐々に喋る事もままならなくなり、立松は顔を真っ赤にし全身をよがらせながら必死に射精に耐える。
あまりにもズボンがキツいので、ベルトを外し、パンツと靴下のみの姿になる。靴下は支給の紺色で、大きく肥大した足を目一杯包んでいる。パンツは汗で湿り、陰茎の形がくっきりと見えてしまっていた。脛は密林の様に毛が茂り、パンツからは男特有の汗臭さが臭ってくる。
「ぢくしょう!出せぇ゛!!」
屈辱的な格好になり、立松は怒りを露にした。その姿は、正義の味方ではなく野人に近い。そして、脳内に到達したダークの力が、立松に最後の改造をもたらそうとしていた。
『貴方には、もっと壊れて頂かなくては』
その言葉と同時に、個室の全面が鏡張りになる。六方を自分の醜く改造され、パンツと靴下のみで喘ぐ姿に囲われる。
「な……やめろ゛ぉっ!!」
羞恥心に耐えきれず、立松は鏡を叩いた。鏡は割れず、手が痛む。向かい合った自分は、目が血走っていた。
「ぐ……ああ゛あ゛ぁ…嫌だああぁっ!」
頭を押さえ、立松は悶絶する。ダークノアの洗脳が、脳内でも始まったのだ。抵抗があるだけ、立松の精神の強さが感じられる。
「ぐああっ!やめろお゛お゛ぉ!!んぎいぃぃっ!」
『んはぁっ!気持ちいいっ!!』
耳元で快感に喘ぐ自分の声が聞こえる。鏡を見ると、一心不乱にチンポを扱き、猿の様にオナニーに耽る立松の姿が映っていた。
「違うっ!これは、俺じゃない゛っ!!」
立松の言う通り、鏡に映っていたのは、合成の映像である。しかし、理性を壊すには十分な代物であった。
『ぐひぃっ!俺、ダーク様に調教されて、淫乱刑事になっちまいましたぁっ!!』
鏡の中の自分が、嬉しそうに叫ぶ。その時、正面の鏡の立松だけが、股間から真っ黒な精液を射精した。
「やめろお゛お゛お゛ぉぉっ!!」
毛深くなった身体に、精液が塗りたくられていく。淫猥な自らの姿に、立松の心は壊れていった。
『ぐひっ!ぐひぃっ!!』
ゴリラの様に哭く鏡の中の立松は、先程の少年達と同じ様に、全身をダークスウツに包まれていく。
「な゛っ……!」
真正面を向き、その完成された姿を惜し気もなく晒す。戦闘員となった立松の予想画像であったが、その完成度は並みでなかった。
『これが、俺、立松の真の姿です!!イイッ!』
甲高い声でそう述べると、右胸に左の拳を乗せ、忠誠のポーズを取る。
「そ…んなぁっ……!」
いつの間にか、全ての鏡がその映像に切り替わっていた。
『ダーク様に忠誠をっ!!』
「あああ……うわあ゛あ゛あああッ!!」
絶叫が個室に木霊し、立松は泣き叫ぶ。身体の自由がもう利かなかった。
「ああ゛あ゛!嫌だ!嫌だあああ゛あ゛!!」
ビュッと一筋の直線が迸り、正面の鏡を汚した。白と黒の入り乱れた、濃い精液だった。鏡の中の立松が、一斉ににやりと笑う。
「俺は、俺はあ゛っ!ぐひっ!い、いや…だ……ンアアア゛ア゛!!い……い…イイッ……イイッ………」
涙と鼻水で汚れながら、立松はゆっくり立ち上がった。靴下もパンツも、一糸纏わぬ姿になっている。毛深い身体に飛び散るのは、汗と精液。震える手で、斯波の置いていったダークスウツを掴む。匂いが良すぎて、それだけでイキそうになる。
「イイッ……イイッ……俺は、淫乱、刑事……イイッ!」
逞しい身体に、着々とダークスウツが装着されていく。顎下から完全に装着が終わると、少しの調整があり、斯波や青屋と同じプロトタイプの戦闘員として改造が終わった。
鏡の中の姿と、寸分違わぬその姿に、立松は興奮を覚える。
「プロトタイプ・立松、ダーク様に永遠の忠誠を誓います。イイッ!イイッ!」
右胸に左の拳を置き、立松は精液で脱ぎ散らかした制服を汚していく……
『ククク……立松、お前には特別な任務をやろう…』
「イイッ!ダーク様の為にィッ!!」

11

ケータイで呼び出された徳井は、すぐにS高に向かった。立松からのSOSであったのだが、数時間もの間、連絡が取れなかったのは何らかのトラブルと見て間違いなく、出動準備は整えていたのだ。
5分もしない内に、S高の正門前に乗り付ける。慌てて出てきた教師が、徳井を体育教官室に案内した。
ドアを開けると、異形の姿をした中年男性が仁王立ちをし、その足元に送り出した制服の立松と、保護対象の学ランの青屋が縄と猿轡で拘束されていた。二人は顔を真っ赤にし、涙を流した跡がある。斯波は全身タイツの姿で、チンポを勃起させながら値踏みをする様に徳井を見た。
「大丈夫かっ?!」
徳井が話し掛けても、立松の目は虚ろである。青屋も同様であった。
「お前……ダークノアの者だな」
「いかにも。俺はダーク様の忠実な下僕、斯波辰雄だ!!」
煙草臭い身体を動かし、斯波は思いっきりタックルをかます。避けようと思った瞬間、両脇を羽交い締めにされ、もろにタックルがクリーンヒットする。
「ぐおぇっ!!」
痛みに悶絶し、徳井の巨体が倒れる。羽交い締めにしたのは、教官室に案内した教師、須田だった。
気絶する間際に見えたのは、須田がダークスウツ姿に戻った邪悪な笑いだった。

目を覚ますと、徳井は丸い手術台に大の字に全裸で固定されていた。真っ暗な部屋に、無影灯だけが徳井のガチムチの身体を照らし出す。筋トレやリフティングで鍛え上げたその身体は、もうすぐ中年に差し掛かろうとする年齢とは思えない。脂肪と筋肉のバランスが取れており、腹筋はバキバキに割れている訳ではないが、筋肉でがっちり膨らんでいる。胸や手足の筋肉はむっちりと一つ一つの筋肉が丸みを帯びパンパンに肌を張らせていた。奥に控えていた三人のプロトタイプ戦闘員は、新たな獲物に舌を舐め擦る。
「くっそ!離せ!離せぇっ!!」
徳井は思い出していた。優しく、厳しく、新米だった自分を指導してくれた先輩刑事の事を――その人は、ダークノアを追い掛け始めた瞬間、謎の失踪を遂げた。
焦りで脂汗が止まらない。髭や、スキンヘッドをイヤらしく光らせ、固定された手足を虚しく動かした。背中が鉄の手術台に汗で張り付く。
「徳井刑事、これで貴方もおしまいだ……、こいつらと同じ、戦闘員になって貰う」
須田が一言、冷たく言うと、三人のプロトタイプ戦闘員が前に出てきた。徳井は、その中の青屋と立松の姿に愕然とする。二人も、斯波と同じ様にダークスウツに包まれた身体を惜し気もなく晒していた。
「立松……立松!!」
「どうですか、先輩……ど変態に改造されちまった、俺の身体……最高ですよ…先輩も早くダークノアの一員になりましょう……」
「ふ、ふざけるな!!」
真面目一本だった立松は、自らの指をケツに抜き差しし、勃起したチンポを扱いた。徳井はその姿に絶望する。
「あ、青屋……お前もそんな姿にされたのか?」
「……はい、斯波先生が俺の事、許して下さったので……ラグビー部ダークノアも、俺の居場所を作ってくれました。ダーク様に仕え、立派な淫乱ラガーマンになるのが、俺の喜びです……」
滔々と語る青屋は、乳首を摘まみながら感じていた。不良少年は、また違った道の踏み外し方をしている。
「お前も仲間にしてやろう……その身体を捧げるが良い!」
酸素マスクが青屋の口に装着され、プロトタイプの戦闘員が発する煙草の匂いが注入されていく。激しく抵抗する徳井は、無力だった。
「止めろっ!止めてくれえぇーーーっ!!」
高濃度の煙草が徳井を蝕むのに、そう時間はかからなかった。

12

「ふっ……あっ!ううっ…ひっ!あ゛あ゛っ!!」
酸素マスクの中で喘ぐ徳井は、朦朧とする意識の中で肉体が変化していくのを感じた。毛が全身から生え、肉体を淫らに彩る。ケツがだらしなく開き、チンポが肥大し、そそり立った。
「いあ゛っ!!……うぐあ゛あ゛ぁっ!!や゛め゛……ろぉっ!!」
胸毛を掻きむしり、悶絶する徳井を、三人が取り囲んだ。下半身を立松が、腕や脇を青屋が、顔やスキンヘッドを斯波が唾液をたっぷり含ませながら、舐め尽くしていく。毛や指をしゃぶり、雄臭くなった肉体を確かめた。
「ひがああ゛あ゛あ゛ぁぁ!!」
息を吸えば煙草が、力を抜けば全身を刺激する舌が這い回る。そのジレンマと、パニックで徳井は徐々に理性を失っていく。
「あ……ああ…ああああ゛あ゛ああ゛あ゛ぁぁぁあ!!」
涙が零れ、徳井の全身の力が抜ける。酸素マスクの中は、唾液が大量に溜まっていた。外されると、どろりと口髭にかかっていく。
「はひっ!!いや……いやだっ!俺は……こんな…あ、あ、あ、い……ィ…」
往生際が悪く、首を左右に振る。チンポからは、既にグレーの精液が溢れ出していた。
「先輩も俺の部下になって、S高とダーク様に仕えるんですよ」
「ィ……目を、さま…せ……!!、がっ!!あああああ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁあぁっ!!」
立松のチンポが徳井に突っ込まれ、激しくピストンされた。
「早く、徳井先輩も俺と同じ変態刑事に、なって下さい!!」
「が、あっ!ひぐっ?!うおあっ!!」
徳井のチンポから真っ黒な精液が出た瞬間、立松は徳井の腸内に中出しした。青屋は徳井の毛深く熱い胸に、斯波は徳井に顔射する。全身を黒精に汚された徳井は、
「い、嫌だぁーっ!ウッ!グオッ!い、イッ!ィイッ!イイーーーッ!!」
そう叫び、泣きながらダークスウツに包まれていった。三人は新たな戦闘員の誕生を下卑た笑みで眺めている。
煙草の匂いが染み着いた、ダークスウツの雄がまた一匹、ここに誕生した。斯波よりもゴツく、太いその立派な肉体は、暗黒に染まっている。
「……ダーク様に、忠誠を……」
恍惚とした表情を浮かべ、徳井は再びその肉体を貪られていく……

13

「改めて、ラグビー部に入る、青屋だ」
「申し訳、ありませんでしたっ!また一からよろしくお願いします!」
深々と頭を下げる青屋は、剃り込みが無くなる程髪を短くしていた。また、ラグビー部でやり直す為のけじめだった。
ラグビー部の面々は、みな一様に柔らかい表情で青屋を迎え入れた。ノーサイドの精神が根付いた、優しい部員達なのである。だが、彼等はまだ知らない。斯波と青屋が、この後教官室で交わり、夜はダークノアとして暗躍する事を。自分達が既に、ダークの手中に収まりつつある事を。
久しぶりのラグビーユニフォームを着て、青屋は元気にグラウンドに駆け出す。インナーは、闇より深い漆黒である。

守衛、というには厳つく目付きの鋭い男が二人、正門に立っていた。警備員として雇われた徳井と立松は、毎日をS高で過ごし、守衛室に寝泊まりをしている。
一日の勤めが終わると、警備服のまま交尾し、その精をダークに捧げた。正義感に溢れていた刑事達は、今や性欲に支配された野獣にまで堕ちてしまった。
「おら、しゃぶれよ」
「イイッ!立松様のチンポ、しゃぶらせて頂きます!!」
ダークスウツに包まれたチンポを、一心不乱に徳井がしゃぶっていく。立松の部下になってしまった徳井は、敬語で立松の命令に答える。
一日中履いていた紺のソックスで、互いのチンポを扱き合い、同時に絶頂を迎えた。その黒精をたっぷり吸ったソックスを交換し、熱心に頬張っていく。
「んふっ!んめぇぇっ!!」
「んもっ!んへぇっ!たまんねぇっす!!」
煙草の匂いの染みたダークスウツと警備服を嗅ぎ合い、二匹の雄は再びまぐわう。その身を、ダークノアに一心に捧げながら。

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