アメフトの部活後ロッカーで着替えていると、後頭部を強く殴られた。
目を覚ますとそこは大きな部屋。宮殿の様に床は光り、天井は高い。アメフトのユニフォームやプロテクター一式を着けたままの後藤は、体の汗臭さに参っている。筋肉質でピクピク動く胸。筋肉の塊の様な腿。太い腕。すべてアメフトで手に入れたものだった。
仲間を探しに探索を開始すると、部屋の両側に大きな扉があった。後藤は思い切って右の扉を開けると、そこには異様な空間が広がっていた。細い廊下の両脇に、若い男がずらっと並んでいる。服装はばらばらで、みな何かしらの「ユニフォーム」や「制服」と呼ばれる物を着ていた。廊下は何故か臭い、汗や足、脇の臭いや――精液?の臭いが混ざった「雄」の臭いだった。
後藤は異変に気付く。男達は微動だにしないのだ。時を止められたかの様に、誰一人動かない。一番部屋に近かった野球のユニフォームを着ている青年を観察した。胸に大学名が入っている。男達はみな足を少し開き、手を握りしめて立っているが、この野球青年も例に漏れずそうだった。足を見ると泥だらけのソックスでユニフォームも泥だらけだ。額に汗を大量にかき、アンダーアーマーも暑苦しそうだ。近付くと自分と同じ汗と雄の臭いがする。何度か呼び掛けるも、瞬きすらしない。アーマーを触ると、手に汗がびっちょりと付き不快になった。チンポが立っているのに気が付き、鼻を当てる――普段はそんなことしない――とむせかえる様なイカ臭さだった。
(コイツ……出してる)
向かいを見ると、同じ野球部のキャッチャーが立っており、こちらも全て同じだった。後藤は怖くなり、廊下を急いで進む事にした。サッカー・ラグビー・テニスから警官・自衛隊・鳶職までありとあらゆるユニフォームと男がいる。彼等は向かい合わせで対になっており、全ての男が中で射精していて、生地の薄いものは染みになっていた。
後藤は自分と同じユニフォームを発見する――15番……田崎だ。
「おい、大丈夫かよ!」
後藤の呼び掛けに田崎は答えない。汗臭く、触ると手に汗がつく。股間はイカ臭く、田崎も他の男達と全く同じであった。そして……田崎の向かいには対の相手が誰もいない事に気付く。時は既に遅かった。体が動かない。
「惜しかった。もう少し勘が良ければな」
と言ったのは突然現れた筋肉だるまの男、但し風貌は完全に異形で形容するなら悪魔だった。
悪魔は後藤を田崎の向かいに動かし、男達と同じポーズにさせた。そして後藤に舌を入れてキスをすると、後藤は手も使わずに射精した。悪魔は邪悪な笑みで後藤に魔法をかけ、後藤は発汗も、射精も、汗臭さもそのまま時を止められた。
(俺、くっせぇ!たまんねぇ!)
と魔法で意識が変容していき、向かいの田崎をズリネタに妄想する後藤。ここに囚われた男、全員が同じ状態で、永遠に淫魔のコレクションなのだ。
※
俺は気が付くと既に微動だに出来なかった。汗まみれのユニフォーム一式を着こんだまま、フッパンの股間を最大限に怒張させ、精液を出した瞬間に時を止められた……らしい。自分では確認しようが無かったので何とも言えないが、自分の股間辺りがぬるぬるし、そこからイカ臭ぇ匂いが漂っていることから恐らく本当であろう。
これは、筋肉質の悪魔――とおぼしき異形の男――が言っていた事だ。部下のゴリラ見たいに毛むくじゃらの二人から「デモン様」と呼ばれていた。
「お前は上物だな。若くて筋肉もほど良く、体臭も俺達好みだ。展示ではなく実用に呼ばれるかもな」
と俺にはさっぱり何の事かわからない話をしている。確かに体臭はキツい方だと思う。現に、ユニフォームを着ていても鼻に付く脇の臭いや、ふと臭う足の匂いなどに興奮している。自慢のソフトモヒカンはヘルメットの中で湿り、蒸れて汗臭さを内部に充満させており、アイシールドを上げておくべきだったと後悔した。ここに来てから、俺は男の筋肉や臭いに発情する様になったが、射精の最中に時間を止められたので、正直生き地獄だ。他の奴等もそうらしく、みなチンポをおっ立てており、各々のユニフォームに白い染みをつくっていた。中でも、右斜め前にいる警察学校の男が最高だ。チンポ汁の染みは勿論、制服の上着まで脇汗が染みており、そのやらしい体とは裏腹に真面目で端正、きりっと口を結んだ顔とのギャップに、俺は凄く興奮した。多分、俺の右隣も警察学校の男なのだろうが、首が動かないので、見たことはない。しかし、時にこちらまで臭いたつ強烈な脇の臭いの持ち主であることは確かだった。
何時間経ったかわからなくなった頃、自分と同じユニフォームを来た奴が現れた。10番――後藤か!
「おい、大丈夫かよ!」
(早く逃げろ!)
俺の思いは通じず、後藤は俺の体を物色し始めた。脇の臭いを嗅ぎ、おっ立ったフッパンの中を覗き、俺が射精しているのを確認して愕然としていた。俺は恥ずかしかったが、後藤の汗の臭さに興奮し、それどころではない。
突然、デモンが現れて、後藤に魔法をかけた。後藤の動きが止まり、俺達と同じポーズにされ真顔になる。デモンがキスをすると、後藤のフッパンはみるみる盛り上がり、白い染みがじわりと広がった。俺達と同じ、コレクションの一つとなる後藤。俺は、俺も含めて警察学校生も鳶職もみんなデモンに時間を止められ、イカされ、発情する様にされたのかと考えるとたまらなくなる。
後藤の筋肉に、臭いに、姿に発情してからどれくらい経ったのだろうか?時間を止められた俺達にはわからない。永遠にこのまま男に興奮し射精し続けるのかと思ったその時、俺と後藤はある淫魔に持ち帰られ、そして――
※
二体の淫魔候補がいた。俺達は色々な世界から男を集め、コレクションしている。石像にしたり、特殊なスウツでコーティングしたりと趣向は様々だが、共通するのはそのコレクション達が俺達の仲間になれそうなものである、ということだ。
その点、この二体は大丈夫そうだ。肉体も、性欲も上々。立派な淫魔に生まれ変わるだろう。さっきの鳶職の二体は下級淫魔だったのは残念だったが、しょうがない。質が悪かった。最初から性欲が全開なのは、あまり良い淫魔になれない。生まれ変わる必要がないからだ。この場合、真面目にスポーツや仕事に打ち込みつつ、性欲をもて余している、という雄がベストだ。まあ……雌もいることにはいるが、それはまた別の話。
10番のヘルメットを取る。真面目な顔つきでこちらを睨んでいるが、これは仕様だ。この表情で射精しているってのは、なんかソソる、それだけの理由。坊主が大分伸び、髭を蓄えている。汗の臭いがぷんと漂い、俺はコイツをがっつり犯したくなった。隣の15番も顔を見せてもらう。こちらは明るい色のソフトモヒカンに顎髭が整えられていた。やはり真剣な眼差しながらチンポはおったっている。
二体は上級淫魔になれそうだったので、きちんと処理をしなければならない。まずは時を動かしてヒトの精子を全て抜こう。魔法を解き、チンポに再び魔法をかける。
「なんっ?!うわっ?!うわああああぁぁああ!!」
「ぐあっ?!ああぁああっ?!んああぁぁ!!」
急速な解放と、止まらない射精で、二体はあられもない叫びをあげた。これはいつ見ても最高だ。フッパンを伝って、長いソックスまで精液でどろどろにした後、二体のキンタマは空っぽになった。涎が口の端から垂れ、爽やかなスポーツマンの姿は最早見られない。残念。
次に、二体同士で前戯をしてもらう。気絶する前に魔法をかけ、二体で絡み合わせる。これは、二体を転生させる大邪神・ディーク様に捧げるもので、重要な儀式の一つだ。しかし、魔法にも限界ってものがある。先ほどみたいに、射精の様な生理現象なら容易だが、今回みたいに意識を操るのはなかなか大変だ。まあ、デモン様レベルになるとそれも簡単らしいが、生憎俺はまだまだ見習いである。
二体の内、10番の方が積極的だった。15番の汗と精液だらけのソックスを舐め、臭いを嗅いでいる。
「後藤……やめっ!汚ぇよ……はぁぁあ!」
「ちゅぷっ……田崎っ!臭ぇっ!……やべぇ……おまへの足…エロすぎだぜっ……んんっ!」
15番もだんだん慣れてきたらしく、10番の脇に顔を埋めた。汗染みでユニフォームが変色している。
「ぐああっ!後藤の脇すっぺぇ!たまんねぇ!」
「田崎っ!もっと!もっと嗅いでくれっ!!」
二体は互いに髭を舐め合い、舌を絡ませ、洗っていない髪に鼻を押し当てた。
いい感じで変態になってきたぞ。あと少しでめでたく仲間だ。
後は、「淫魔になりたい」と自らディーク様に誓えば終了、二体は立派な仲間だ。
意識に直接語りかける……
――淫魔になりたいだろ……
「んああっ?い、淫魔…?」
「淫魔って……何だ、それ?」
――淫魔になれば、ずっと雄共と盛っていられんだぜ。なりたいだろ……
「お、雄共と……?」
「やべえ、たまんねぇな!!」
――そうだ。俺達の仲間に生まれ変われ……
「あの……悪魔みたいな奴に……?」
「もう我慢出来ねぇ! 俺を淫魔にしてくれ!!」
「お、おい!!」
「田崎も見ただろ、悪魔のあの体……臭い……力……、あそこで立ってた雄共も俺達のものなんだぜ!ぜってー俺も淫魔になりてぇよ!」
『……しかと聞き遂げた』
ディーク様の声が全員の脳内に響き渡る。ディーク様は姿を滅多に現さない。この世界をダーク様に、向こうの世界をバベル様に任し、均衡を保つ為だ。三人もの偉大な淫魔が同時に存在すれば、世界の崩壊を招いてしまう。俺達の最終目標は、世界を壊さずに、淫魔の世界を創ることだ。それ故に、ディーク様はどちらの世界にも存在せず、その偉大な魔力でほんの少し干渉するだけである。
「あーーっ!!俺をっ、淫魔にっ!早くっ!!ぬああぁぁっ!!」
10番の足元から大量の黒い触手が生え、体を犯しながら包んだ。丁度それは卵形に落ち着き、中からは卑猥な叫びが断続的に聞こえる。15番は呆気にとられて見ていたが、そのイヤらしい喘ぎに発情しているのは目に見えていた。
――お前は、どうする?
「俺は、俺は……」
目の前に二つの黒い卵があった。もうすぐ孵化し、新たな淫魔が誕生する。二つの卵が同時に割れ、中から逞しい肉体に変貌した二体の姿が現れた。皮膚は黒くなり、顔のみがヒトと同じ肌色である。粘液にまみれた体は淫乱にテカり、毛深くなっていた。胸筋が発達し、プロ選手の様に厚い。ケツの上からは太目の尻尾が生え、チンポはどす黒く凶悪にそそり立っていた。二人は互いに見つめ合うと、にやりと笑って長く伸びた舌を絡ませる。先走りは黒く、完全に淫魔に堕ちたことを証明していた。
卵の中から、どろどろに汚れたアメフトのユニフォームを取り出し、二人で交換して着始めた。後藤は15番を、田崎は10番を……
「俺達、すっげー淫乱な雄だったんだな」
「だろうな、お互いこんなにやらしい臭いしてるぜ」
「ちょっとズリ合おうぜ……」
「おいおい、次の雄までとっとけよ」
二人は69の形で相手のソックスを舐めあった。ヒトであった時の精液がこびりついている。
「くっせー!」
「てめぇの臭いなのに、興奮しちまう!」
「「ぐがああああぁぁぁっ!!」」
二人は同時に射精し、自分のユニフォームを黒く染めた。
どうやら、今回はなかなかの成功だったみたいだ。俺は二人の末路を見届け、次の仕事に戻った。